小保方晴子氏が所属し、STAP細胞問題の舞台となった理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(神戸市中央区)は、11月に多細胞システム形成研究センターに再編された。研究者には「来年度は予算不足で、研究を続けられない人も出てくるのではないか」と心配する声もある。
約440人いた職員のうち新センターの所属は約330人。約110人の勤務地は神戸のままだが、理研の別組織に配属された。
新センターに所属する男性研究者は「センター一丸となって発生・再生分野の研究を進めてきたが、(別の所属では)共同研究もやりにくい」と話す。
理研関係者によると、実験用のマウスや顕微鏡がある設備も、理研の別組織の所管に変わった。センターの研究者が使用するには手続きが煩雑になるなど業務に支障が出る可能性もあるという。
またセンターの2015年度予算は大幅に減る見込みで、大半の研究者が国の科学研究費補助金に頼ることになる。申請が認められなければ「人員を減らすしかない」(研究室責任者)。別の男性研究者は「STAPと無関係なのに、センターで研究を続けられなくなった人がいる。小保方氏の責任は重い」と怒りを隠さなかった。
一方、理研が検証実験の打ち切りを発表した19日午前、出勤した男性は「論文を撤回した時点で(STAP細胞は)無いと思っていた。検証結果も『そりゃそうだろうな』という感じ」と淡々と話した。他の関係者は「何も言うことはありません」と足早に建物内に入っていった。
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